「日本人の歯並びが悪くなったのは、いつから?」
『現代人は堅いものを食べなくなったので、顎が小さくなり、歯並びが悪くなった!』と言われますが、いったいいつ頃から、日本人の歯並びが悪くなったのでしょうか?
先日行われた東京矯正歯科学会での、東京大学総合研究博物館の海部陽介先生の講演で、日本人の不正咬合のルーツがわかりました。
海部先生曰く、狩猟生活をしていた縄文人の歯列は、激しい咬耗はあるものの整った歯並びをしていたそうです。
稲作が始まった弥生時代以降、歯の咬耗が減少し、日本人の咬合が変化してきたとのことでしたが、現代人のようなでこぼこの歯並びや咬み合わせの悪い咬合が見られるようになったのは、それからずっと後の江戸時代からだそうです。
とても興味深い話ですが、肖像画で見る3代将軍の徳川家光は、顎がしっかりしていて歯並びが良いのに、14代将軍の徳川家茂は、顎がきゃしゃで、歯並びもデコボコ、更に前歯が噛んでいないオープンバイトを呈していました。
これは、主に食材の変化と調理技術の発達により、良く噛まない食生活になったことが原因ではないかと言うことでした。
14代将軍の徳川家茂は、在任1858年から1866年ということですから、割と最近だなと思いました。
ネットで調べると徳川家茂は、顎がしゅっとしていてイケメン!
今の若者に似た顔つきをしています。
その後、1903年にエドワード・アングレイ博士というアメリカの歯科医師が咬合改善の概念を発表し、現在の歯科矯正の基礎を築きました。
それが、日本に伝わり、医師たちにより改良を重ねて、今のワイヤー矯正の基盤となりました。
ワイヤー矯正とは、歯にブラケットを付け、その上にワイヤーを結紮(けっさつ:糸を結ぶ)して、歯を動かしていく方法ですが、ブラケットの種類もメタル、プラスチック、セラミックなどいろいろあります。
そして最近では、マウスピース矯正などもあり、いったい何でやるのがいいのか?迷ってしまいますよね!
実際、患者さんからも、「いろいろ矯正の相談を受けて、ワイヤー矯正がいいと言う先生とマウスピース矯正を勧めてくる先生がいて、どちらがいいですか?」というご相談をよくお受けします。
それぞれ利点、欠点がありますので、近々当院のホームページでわかりやすくご説明する特集を組みたいと思っています。
ご期待下さい!