「二刀流!」
二刀流と言えば、今や大谷選手の代名詞の様なものですが、応援する方も期待が高くなり。
「ホームランを打ったー!」ではなく、「今日はホームランを打たなかったんだ!」と段々と要求が高くなってきた様な気がします。
こちらの二刀流は、以前来院したおばあさんの話です。
新しく入れ歯を作りたいと来院され、通常通り、印象し、かみ合わせを取り、2~3回の調整の後、お互い満足の行く入れ歯が出来上がり、診療を終了しました。
その後、その方が10年ぶりに「前の入れ歯が古くなったので、また新しく作りたい!」ということで来院されました。
入れ歯を見ると、大事に使っていた様でしたが、確かに奥歯の人工歯はすり減り、床というピンク色の土台は着色し、長い期間使っていた様子がうかがえました。
多少、かみ合わせは、以前より低くなってしまいそうでしたが、また印象し、かみ合わせを取り、調整をし、お互いに満足のいく入れ歯が出来上がり、「問題なければ1ケ月ほどお使いになって、様子を見せにいらしてください」ということで、診療を終えました。
その後、来院された時の会話です。
私:「使っていて入れ歯の状態はいかがですか?」
おばあさん:「問題ないです。きれいになって嬉しいです」
私:「よかったです。食事も問題ないですか?」
おばあさん:(ちょっと申し訳なさそうに、、、)「別に痛いとかもないし、何でも食べられるのですが、きれいだから、外に出かける時はこっちを入れて、家で食事をする時は古い方を使っているんです」
私:「どこかあたって痛いですか?かみ合わせが悪いですか?」
おばあさん:「なんか、古い入れ歯で食べた方が、美味しく感じるんです。ダメですかねー?家で食事する時だけなんですけど、、、」
私:「・・・・」
「なるべく食事の時も新しい入れ歯を使って下さいね」
私にとって、ちょっと残念なおばあさんの二刀流でした。