ワイヤーとマウスピース、どっちがいい?
自分の歯並びの場合、マウスピースとワイヤー、どっちがいい?
1. 「歯は一番最初に見ちゃいます!」
2.虫歯の先端に虫歯?!
3.池田歯科でのマウスピース/ワイヤーの割合(2024/7)
4.40~50代、歯の根の治療をした歯も動かせます
5. 「職場にも自宅にも近くないけど、先生おもしろいから!」
6.学会って何?
1. 「歯は一番最初に見ちゃいます!」
マウスピース矯正が出てきてから、「矯正の装置が目立つのが嫌」という人はそれを選ぶと思います。
舌側矯正(ぜっそくきょうせい:歯の裏側に装置をつける矯正、下記画像参照)は絶滅危惧種かなと思いますが、池田歯科ではどうですか?
リンガル(裏側の矯正)はどうしても裏側からやりたいという方だけやっています。
リンガルは、患者さんのブラッシングが難しいですし、舌感(ぜつかん:舌の感覚)も悪いです。
それだったらラビアル(頬側矯正:きょうそくきょうせい、歯の表側に装置をつける矯正)で、白いブラケットの上にホワイトワイヤーを付ける方法をお薦めしています。
サッシ―(指原莉乃さん)が裏側で矯正していましたよね?
やっている方は多いと思います。(サッシ―のティックトック)
テレビで見て分かるんですか?先生。
ある芸能人の方ですが、バラエティーに出ているとき、上の4番目の歯がないのが見えて、何となく話し方も違和感があったので、「裏側から矯正やっているな」と思いました。
その後、テレビで見かける度に気になっていて、今は抜いた歯のスペースもなくなり、綺麗な歯並びになっています。
テレビを見ながら、ついチェックしちゃいますか?
歯は一番最初に見ちゃいます!
芸能人の方は、自分の見た目が仕事に直結するので、サッシ―が「矯正を舌側でやってよかった」と聞いたら、同じアイドルの子たちも先輩のように綺麗になりたいと思いますよね!
マウスピース矯正は少なくても1日20時間以上は入れてないといけないので、芸能人の方は時間が不規則で難しいかもしれません。
リンガル矯正の方が確実に動いてくるので、やられる方が多いのかなと思います。
最近のアイドルの子たちは、みんな歯並びが綺麗ですよね!
でもみんな顔が小さくて、顎も小さいはずだから、最初から歯並びが綺麗な人ばかりではないはずです。
抜歯が必要なケースも多いと思います。
そうなると、マウスピース矯正では動かすのが難しくなるので、リンガル矯正にするのかなと思います。
2歯の先端に虫歯?
マウスピースを着けたまま飲食は無理ですか?
マウスピースの中にモノが入って、虫歯のリスクは上がるし、食べるものが挟まるので無理です。
飲み物は飲めるけれど、スポーツドリンクやシェイクなんか飲んだら大変です。
(下記は、実際に先生自身がマウスピース矯正をした際のマウスピースが入った袋と専用ケース)
歯をわざわざ「砂糖の海」に浸しているようなものですね。
マウスピースは外して、歯ブラシもフロスも出来ますが、たいしてブラッシングをしないで入れてしまったり、歯の間にモノが挟まっているまま着けて「(20時間装着という)時間だけは頑張る!」で使用すると、虫歯のリスクが上がります。
全体的に虫歯が出来てしまうこともあります。
虫歯が歯全体に出来る?!
私も想定外でした!
患者サイドからすると、マウスピース矯正は最近出来きた方法で、どこを見てもいいことしか書いてないです。
だから、デメリットの実態を分かった上で選べばいいのですけれど、知らされないまま選んで、お金を払って、「え~、知らなかった~」というのが一番イヤです。
そこのリスクをあえて開示して「どっちにしますか?」というのが一番親切だと思います。
デメリットも理解した上で選びたいので、包み隠さず教えてほしいです。
包み隠さないという意味では、前回のインタビューも赤裸々で面白かったです。
ワイヤー矯正では、主にブラケット(歯に着ける四角い装置)の周りや、歯と歯ぐきの境、歯と歯の間など、歯ブラシが届きにくいところが虫歯になりやすいです。
だけど、歯の裏側は通常通りブラッシングが出来るので、虫歯にはなりにくいです。
しかし、マウスピース矯正で、ブラッシングをきちんとしないままマウスピースを入れてしまうと、全体的に汚れが停滞してしまい、歯の裏側も虫歯になったり、あとは歯の先端も虫歯になることがあります。
歯の先が虫歯になる??
その方はエナメル質が弱く、もともと虫歯のリスクも大きかったので、歯磨きがしやすいマウスピース矯正がいいかなと思ったのです。
装飾時間は守って下さったのですが、歯ブラシをきちんとしないで入れることが多かったようです。
その結果、犬歯の先端が脱灰(だっかい:虫歯になる一段階前の歯の状態)してしまって・・・。
通常、矯正中に犬歯の先端が脱灰してしまうことは滅多にないのです。
歯にマウスピースをかぶせているから汚れが溜まってしまい脱灰する、そういうこともある、ということです。
寝るときもマウスピースはしますよね?
もちろん、寝ている時が一番長く出来るので。
違和感は慣れる?
それは慣れます。最初に新しいマウスピースを入れると、締まった感じがします。
そのあと2~3日経つとピッタリしてくる。
10日くらいすると問題なく入るようになりますので、しっかり動いた段階で次のマウスピースに交換してもらうように説明しています。
痛くて眠れないことはない?
それはないですね。
逆に眠れないほど痛いようでしたら、心配なので必ず連絡してほしいです。
通常、一組のマウスピースで歯を動かす量は少しなので、眠れないほどの痛みが出るということはないので、知覚過敏や無理な力がかかっているかもしれません。
3.池田歯科でのマウスピース/ワイヤーの割合(2024/7)
2024/7月現在、池田歯科はマウスピース/ワイヤーの割合どうですか?
ワイヤー矯正でやられている人の方が多いです。
基本的にマウスピース矯正は、それでやりたいという人しかやっていません。
最初に「やりたい矯正装置はありますか?」とお聞きします。
そうすると、「マウスピース矯正がいいです」という人もいるし「友達がやっていて全然治ってないからワイヤーで」という人もいます。
「なるべく目立たないようにやりたい」「ワイヤーでいいです」「全然メタルワイヤーでも気にならないです」など、人によって違います。
希望はそれぞれなので、なるべく希望に添った矯正を心がけています。
診断時に希望と違った装置になることはありますか?
ワイヤーを希望した人が「マウスピース矯正の方が合ってますよ」という風になるケースは少ないですね。
大体皆さん色々なところで聞いてくるので、いらっしゃる時点で色々ご存知です。
「あっちに行ったらワイヤー矯正を勧められて、別のところに行ったらマウスピース矯正を勧められた。どうしたらいいですか?」という方、多いですね。
迷える子羊ですね・・・何を信じたらいいか分からない。
そういう方が結構いらっしゃいます。
マウスピース矯正は巾着袋の口を広げたり、閉じたりするような動きが得意です。
基本的に抜歯を必要としないケースに合っています。
しかし、矯正のための抜歯が必要で、そのスペースに歯を何ミリ移動させて、最後余ったスペースは奥歯を前に移動させて完成!みたいな緻密なことは、ワイヤー矯正でないと難しいです。
実際、矯正のために抜歯が必要か否かは、レントゲンを撮ったり、歯型を採って診断しないと正確にはわからないのですが、顎の大きさと歯の大きさのバランスやお顔の感じを見ると、抜歯が必要かなとか抜歯しなくてもいけるかなと、だいたいの予想が着く方はいらっしゃいます。
鼻が高く、欧米人っぽい顔の人だったり。
鼻が高い?
欧米人の矯正は、抜歯が必要でないケースが多いです。
それに比べて、アジアの人はどうしても抜歯が必要になってくるケースが多いです。
骨格的な違いですが、欧米人は鼻が高く、顎(オトガイ部)の骨もしっかりあります。
鼻の先端と顎の一番出ているところを結んだ線を「Eライン」(下記絵参照)と言いますが、通常上唇と下唇がEライン上にあるが、少し下がっているくらいがバランスの良い位置とされています。
欧米人は、Eラインより、上下の口唇がかなり後方に位置している人が多く、でこぼこをとるため歯を前方に動かしても、唇が閉じにくくなるということにはなりません。
逆に、歯の位置を下げてしまうと、笑った時に歯が見えなくなり、寂しい口元になってしまいます。
しかし、アジアの人はEラインより、上下の口唇が前方に位置している人が多く、さらに歯を前方に動かしてしまうと、でこぼこは治ったけれど口元が出てしまい、唇が閉じれないなんていうことになってしまいます。
このような場合、抜歯をして前歯を後方に下げることによって、唇を閉じやすくします。
そこら辺まで分かっているのが、矯正を専門にやっている先生ならではですよね。
レントゲンを撮ったり歯型を採ったりして診断をしないと正確にはわかりませんが、私は初診時に分かる範囲でお話しします。
「抜歯が必要かもしれないから、やはりワイヤーの方がいいかもしれません!」という感じで。
抜歯の場合はワイヤーの方がいい?
いいと思います。中には、抜歯ケースでもマウスピースで、大丈夫なこともあります。
その違いは?
説明すると、難しくなっちゃいますが・・・。
例えば歯を4本抜いたとします。
歯を抜いたスペースがデコボコをほどくだけでなくなって、キレイに並ぶ人はマウスピース矯正でも大丈夫かと思います抜歯のスペースが余らない場合です。
デコボコだったのが、スペースが出来たことでキレイに並ぶケース、ということでしょうか?
はい。
一方、奥歯の噛み合わせがずれていたり、上下の噛み合わせがずれているケースで、でこぼこを綺麗にして、上下の正中を合わせて、噛み合わせは整ったけれど、スペースが残って最後に奥歯を前に移動させて完成させるなどのケースは、ワイヤー矯正がおすすめです。
奥歯は大きな歯なので、それを前に移動させることはワイヤー矯正でも大変で時間も掛かります。
マウスピース矯正だと、更に時間がかかります。
それぞれの装置にそれぞれの得意技があるのですね!
歯の移動が難しいケースは、ワイヤーでも大変ですが、マウスピースだともっと難しくなることが多いです。
また、開咬(かいこう:前歯が噛んでいない)の方はマウスピース矯正だと早く前歯が噛んできやすく、向いていると言われますが、反対に過蓋咬合(かがいこうごう:前歯の咬み合わせが深い)だと、咬み合わせを浅くしにくくマウスピース矯正だと難しいとされています。
また、抜歯をしようかどうか悩んでいる方は、まず抜歯をせずに前歯を並べてみて、口元が出てしまうようなら抜歯をし、問題ない場合はそのまま矯正を進めます。
このような治療方針の変更は、ワイヤー矯正ではできますが、マウスピース矯正ではできません。
そこまで分かっているのは、矯正を専門にやっている先生だからこそなんでしょうね。
マウスピースは、最初から最後までのシミュレーションを画像で見られるので、最終的にどうなるかは分かりやすいですよね。
ワイヤー矯正の場合は「最初はこの歯を動かして、次に前歯を後ろに下げて」と、治療時に毎回説明をしますが、画像ほど具体的には分かりません。
先生の頭の中に「シミュレーションソフト」が入っているのですね!
そうですね!頭の中を見せてあげることが出来たら、いいですけれど!(笑)
治療していて、「この人はここが一番大変!」というのがわかりますので、そのときは、「しばらく噛みにくいと思いますが、少し我慢すればちゃんと噛めるようになりますよ!今回はちょっと大変かと思います」と励ましています。
自分でも矯正治療を経験していますので、どのくらい痛いかはわかります。
長い事やってきたおかげで、治療の流れや、予期せぬ動きや痛みがあったときなども、対応の仕方がわかるようになりました。
若い時は、気が付かなかいことも多かったです。
経験、ノウハウ、そんなに簡単に得られないですよね。
先生は、そのような時の対応がいつから出来るようになりました?
ここで開業してすべて自分でやるとなると、もう誰も聞く人がいないので、経験を積んでという感じですね。
丁度開業した頃から、矯正の世界もマウスピース矯正が出てきたり、歯を動かすための固定源としてスクリューが出てきたりで、大きな変化がありました。
講習会などもたくさん行きました。
4.40~50代、「歯の根の治療をした歯」も動かせます
開業してどれくらいですか?
2024年8月で17年目に入ります。
長年培ってきた経験が、先生の頭の中にあるシミュレーションソフト「ジュンコチェック」なんですね!
矯正専門の先生は、みなさんそうだと思います。
最近は、お子さんの矯正だけでなく、お母様世代の成人矯正をされる方も増えてきました。
40代50代になってくると、歯の神経を取っていたり、治療されている歯が多くなりますよね。
ある方は奥歯に根管治療(こんかんちりょう;歯の根の治療)がしてあり、「いつもじゃないけど、疲れてくると奥歯が痛い」とのことでした。
レントゲンを撮ったら、歯の根が上顎洞(じょうがくどう:上のアゴの骨のさらに上のスペース)に近くて再治療は難しいかなと。
え?「歯の根の治療をしている歯」でも、矯正治療が出来るのですか?!
もちろんできますよ。
根治(こんち:歯の根の治療)してある歯も動きます。
動かしても大丈夫ですか?
大丈夫ですよ。
かぶせ物した歯の矯正はできると思ってましたが、歯の根の治療をした歯を含む矯正は無理だと思っていました。
根治後、根尖病巣(こんせんびょうそう:歯の根っこの先に膿がある状態)があったり、叩くと痛い「打診痛(だしんつう)」があったら動かせないですけれど、問題なく処置をしてあればOKです。
ただ、根管治療をしていて根尖病巣や打診痛があり、再治療が難しい歯は、矯正治療の際に矯正力をかけないようにする必要があります。
ワイヤーの場合、装置を入れるとすべての歯に力が掛かってしまうので、ワイヤーをその歯に前でカットしたりその歯に装置を入れないなどのプランを立てる必要があります。
その点、マウスピース矯正では、あらかじめ「この歯は動かさない」という指示が出来ます。
その方は、どちらが希望でした?
その方は、「仕事もしているので、出来れば目立たないマウスピースがいいです」とのことでしたので、ご希望と合致しました。
コロナ前、来院される患者さんはマウスピース矯正希望の方が多かったのですが、コロナ禍でマスクをしているときは「全然ワイヤーでいいです、早く終わらせたいです」という方が多かったです。
マスクしている間に終わらせたかったのですね。
ワイヤーの方がリーズナブルだし、マスクをしているなら装置が見えてもいいと。
実際、通院回数を考えると、費用はそんなに大きく変わる訳じゃないです。
患者さんの優先事項・・・「じっくり時間をかけても完璧に治したい」「なるべく痛くないように」「なるべく短く終わらせたい」「痛くてもいいから早くしてほしい」人それぞれなので、なるべく合わせるようにしています。
その方その方の「優先事項」があるのですね。
矯正する方の男女比は?
男性もいらっしゃいますけど、女性の方が多いです。
年齢層は?
昔は小・中・高校生や大学生がメインでしたが、今はお母様ご自身や親子でやりたいという方も多く、40代50代の方も多いです。
40代50代だと、矯正の進みはどうですか?
そういう方は、「ずっとやりたかった」と考えてらした人が多いので、とても協力的です。
治療の期間が長くなることは特にないですね。
中高生の方が「今日もまたアポイントを忘れちゃった」とかで、治療が長くなってしまう人がいます。
成人矯正で気を付けることは、成人矯正の方は治療してある歯が多いので、抜歯の本数をなるべく少なくする、痛い歯は動かさない、抜く必要があればなるべく予後の悪い歯を抜く、などでしょうか。
若い時だったら、上下4本の抜歯が必要だったけれど、今は奥歯の状態がよくないので、なるべく抜歯の本数を少なくして温存しようなどの判断をします。
「その人の、どの歯を生かすか?」を総合的に診断します。
抜歯の場合は、知由(ともよし)先生がするのですか?
はい、そうです。
矯正だけをやっている医院さんだと、「一般歯科医に行って抜歯してください」と言われますよね。
自分自身も矯正したのが矯正専門の医院だったので、抜歯に他の歯医者さんに行きました。
根尖(こんせん:歯のねっこ)が湾曲(わんきょく:曲がっている)していて難しいケースなどは、口腔外科の先生にお願いすることもあります。
基本は、院内で出来ます。
矯正している途中で虫歯などのトラブルがあってもワンストップで対応できるのは、患者としてはありがたいです。
他院からのご紹介の患者さんが虫歯になった場合は、治療しやすいようにワイヤーをカットするなどして、ご紹介していただいた先生に治療をお願いしています。
5. 「職場にも自宅にも近くないけど、先生おもしろいから!」
一般歯科医からの紹介もあるのですね。
先生からのご紹介もあります。
患者さんからのご紹介もあります。
この周りの方ばかりではなくて、千葉とか埼玉など、遠方からもお見えになります。「矯正は、1か月に1回なので大丈夫です!」と言って、皆さん遠いところから通って頂いております。
ネットでは、どの矯正歯科医院がいいか分からないから、身近にいる知人や友達が行ったところに行く方が安心ですよね。
ネットは怪しいと・・・迷える子羊ですね。
ご期待の添えるように頑張ります!
職場からも自宅から遠いのに、ホームページを見てうちに来てくれた方がいて、なぜいらしたか?をお聞きしたら「ホームページがおもしろかったから」と・・・。
その方もホームページ作製のお仕事をしているとのことでした。
(実は前回のインタビューをした者が作っています)ありがとうございます!
いかにリアルをそのまま出すかを心がけています。
だって自分が読んで「嘘じゃないか?」「飾ってない?」「素のままだな」とか、気になりますもん。
自分が患者さんだったら・・・という視点で書いています。
(この記事も、全然盛ってません、ありのままです)
「職場にも自宅にも近くないけど、先生おもしろいから!」と、うちで矯正を始めることにしてくださいました。
その商売っ気がないのがいいと思います。
カッコつけてなくてホッとします。
でも悩みもあるんです。
バシッと言ったつもりでも聞いてくれないことがあります。
どうも、お子さんになめられている様です。
「ちゃんと歯ブラシしないとね、ゴムも使わないとね、終わらないわよ」と言っても全然聞いてくれません。(一同爆笑)
本当は「いつまでも笑ってないよ」と思っているのですが。
先生、怒ることってあるんですか?
ありますよ、そりゃ。
患者さんのお母様から「歯ブラシしないので怒ってくださいね、先生」と言われて、「歯ブラシしないでそのまま寝ちゃう日もあるんだって?虫歯になっちゃうよ!」と注意するのですが、当の本人は寝ているんです。(一同笑)
いくつくらいの子ですか?
中学生ですね。
高校生になるとちょっと大人になるので「はいっ、わかりました、すいませんでした」と言ってくれます。
また、小学生は親御さんが一緒にいらっしゃるので、親御さんにお願いします。
難しいですね、笑ってばっかりじゃ良くないです。(笑)
基本、歯医者の先生は怖いイメージがあります。
怒られるのが怖くて、嘘ついちゃおう、みたいな。
「ゴム(下記画像>赤丸参照)使ってる?」と聞くと、だいたい「使っている」という返事が返ってきます。
「ゴムはまだある?」と聞くと「ある」と言います。
でも、ゴムは1か月分しか渡してないので、普通は残っているはずはないのです。
使ってないからあるんです。
そんな時は「おかしいね、使っているのに全然動いてないね。つけるのを夜だけにしてない?」と聞くと「昼間はちょっと着けられなくて」とシドロモドロになってくる。
逆に使えなかったら「使えなかった」と伝えてくれた方がいいです。
正直に話した方がいいんですね!分かりました。
話は戻りますが、ワイヤー希望からマウスピースになるパターンはないけど、「ワイヤー希望からマウスピース」になることはありますか?
マウスピースは自分でやってもらう治療なので、「自分はマウスピースでやりたい!」という人でないと無理です。
ワイヤーだったらワイヤーの形に歯は動いてくるけど、マウスピースは1日20時間装着し、10日~2週間に1回交換して歯が移動するので、ご自分で着けないと治療は進みません。
どうしてもマウスピースでやりたい人はマウスピース矯正専門の歯科に行かれると思います。
うちみたいなところは、「マウスピース、ワイヤー、どっちがいいのかな?」という患者さんがいらっしゃいます。
素朴な疑問です。
ゴムを着ける着けないという話ですが、池田歯科での歯の矯正は、ゴムを掛ける頻度は多いですか?
ゴムはなぜ使うかというと・・・デコボコを綺麗にするなど水平的な動きは、ワイヤーやマウスピースをいれることによって可能ですが、上下の歯を咬合(こうごう:噛み合わせる)させるなど、垂直的な動きはゴムを使わないとできません。
昔も今もゴムに代わるものはないのです。
ゴムも、食事と歯ブラシの時以外はご自分で付けたり、外したりしてもらいます。
マウスピース矯正でも、ゴムを使うことが多いです。
マウスピースでも?
はい、ゴムが掛けけられるようにマウスピースにフックを付けてもらうことがあります。
先生のオリジナルですか?
もちろん!
いつからゴムを使うか、どんな方向でゴムを掛けるかなど、マウスピース作成時に指示を出します。
6.学会って何?
2024/7のブログを拝見しました。
東京矯正歯科学会の学術大会の様子がよく分かりました。
患者さん聞きづらいと思うので代わりに聞いちゃいますが、学会って何ですか?
日本で一番大きな矯正学会は、日本矯正歯科学会です。
その他に東京矯正歯科学会、甲北信越歯科学会などの地方学会があります。
いろいろな矯正の先生の講演があったり、症例発表があったり、とても勉強になります。
特別講演もあり、歯科だけでなく他の分野の先生の講演も聞くことができます。
縄文時代からの日本人の歯を研究してらっしゃる東京大学の先生や、好感度の上がるスマイルを研究されている早稲田大学の先生の講演などがありました。
学会って何だろうってみんな思っています。
そういう場で皆さん勉強しているのですね。
商社のブースもあるので、新しい矯正の装置や器具などを実際見ることができます。
「この先生ならマウスピース矯正一辺倒で言われないだろうな」と思って患者さんは来ていると思います。
ちなみに、池田歯科はマウスピース矯正を妄信しているわけじゃないですね?
その人に合った装置で「しっかり治すこと」が「目的」です。
装置には、それぞれ向き不向きがあるので、それをちゃんと説明します。
また、治療期間も気になるところですよね!
マウスピース矯正で、あまりに枚数が多くて、やり続けなければならない場合は、治療期間の話もします。
どちらでやるか決めかねる場合は、マウスピース矯正のシミュレーションをして考えて頂くこともあります。(注:別料金かかる場合もあります)
「潤子先生が選ぶマウスピース矯正、絶対ムリムリ」というパターンは?指標があると分かりやすいです。
言葉にするのは難しいですね・・・。
「抜歯をして、最終的に抜歯スペースが残って、奥歯を前に移動させないといけないケース」、あと「自分で管理ができない人」は難しいですね。
着ける時間を守らない人とか、マウスピースの交換を忘れてしまう人とかは無理ですね。
「1日20時間」ということは、食事のとき以外ほとんどです。
ちょっと飲みに行けば3~4時間、へたすると5~6時間着けていない時間ができてしまうので、20時間毎日装着することは、思っているより大変かと思います。
「マウスピースはワイヤーより楽だ」と思ったら大間違い!ということですね。
「ワイヤーよりも簡単」みたいな考えは違いますね。
ワイヤー矯正より簡単に治るということもないです。
マウスピース矯正も出来ることが増えてきています。
しかし、最初にお渡ししたマウスピースだけやれば完璧に治るということはなく、最終的に咬んでいない箇所があれば、追加アライナーを作成したり、奥歯にボタンを付けてゴムを掛けたり、時間的に早く終わりたい人は、部分的にワイヤーを入れることもあります。
ワイヤー矯正では、最後カチッと噛んだことを確認してから装置を外しますが、マウスピース矯正は最後のアライナーまでやり終えたとしても不十分な場合は、ひと手間かけることが大切です。
時間はマウスピースの方が掛かる?
そこは「患者さんの協力」や「アライナーの枚数」によります。
マウスピースとワイヤー、どっちも使う治療もアリということですね?
奥歯が噛んでいない場合など、ボタンをつけてゴムを使ったりとか、部分的に入れる感じです。
ゴムを自分で掛けて、奥歯が噛んでくるようにします。
ゴムを掛けた時は、食事の時はどうするのですか?
食事の時は外します。
最後、マウスピースだけで終われるか?というと難しい・・・。
途中でシミュレーション通りに動いているかのチェックと、後半の方で噛んでないところがあったら部分的にワイヤーを入れて仕上げをすることもあります。
ワイヤーがどうしてもイヤだという場合は、追加アライナーをオーダーすることもあります。
ワイヤーは先生が動かしたいように直感的に出来るんですね?
はい、噛んでなかったら、ワイヤーにベンド(曲げ)を入れて動かす!という感じですね。
「ワイヤームリムリ」はありますか?
ほとんどないですね。
料金的には?
矯正装置料は、ワイヤー矯正でも使うブラケットによって違いますし、マウスピース矯正も種類によって料金が違ってきます。
ワイヤー矯正は、1ケ月に一度の来院が必要ですが、マウスピース矯正はもう少し来院の間隔があくので、トータルではそんなに大きく変わらないかもしれないですね。
初診時の相談の際、患者さんはどれくらいの時間お話しできますか?
30分くらい、ご相談の時間を取っています。
メッチャ悩んで「決められない・・・」という方います?
ほとんどの方が、一度のご相談では決められず、考えてお返事します!と言って帰られます。
矯正治療は一生に一度のものですから、矯正をするかどうか、いつから始めるか、どんな装置でやったらよいのかは悩んで当然かと思います。
おうちの人とも相談して、良く考えてお返事くださいとお話しています。
矯正を開始するまではいろいろ迷っても、始めたら途中でやめられません。
ですから、良く考えて頂き「もし分からない事があったら、何でもお聞きくださいね!」とお伝えしています。
「ワイヤーだったら先生にお任せ!」というものでないのです。
先生の人となりが分かるインタビューになったと思います。
そう言えば、この前、「先生、出身は群馬ですよね?私は館林なんです。」と聞かれました。
インタビューページをご覧になったみたいです。
歯科矯正、この先どうなるんでしょう?
ワイヤー矯正、マウスピース矯正、この先どうなるのでしょう?
全てマウスピース矯正になるか?というと、そんなことはないと思います。
ワイヤー矯正は、これだけの歴史があるわけですし、マウスピース矯正も適応を選べばすごくいい装置です。
ただ、マウスピース矯正は、ワイヤー矯正を経験して、歯の動かし方、ハウツーを知らなかったら難しいと思います。
「最初から最後まで歯がどう動いていくか」が頭の中にないと、どんな矯正でも出来ないです。
パソコン上でのミュレーションは何でもきれいに治っています。
でもよく見てみると、動くはずのない顎の骨が動いていたり、「それはあり得ないでしょう」という動きが入っていたりもするので、何度もアライン社の方とやり取りをして、一番最適なシュミレーションでのマウスピースを作製してもらいます。
そのためには、歯の動きが分かっていることが大前提です。
マウスピース矯正もワイヤー矯正も、ひとつの手段でしかない。目的は「正しい噛み合わせにすること」で、それがどういうものかをちゃんと理解することが大切です。
パソコンでのシミュレーションが自分の頭の中で出来て、しかもチェックできるかどうかですよね。
そうです。
「果たしてこれって可能なの?」「この移動量で問題ないか?」ということに気が付かないといけない。
先生の力量がすごく試される、ということですね。
それこそ最初に戻りますけど、本来「痛くて寝られない」ということがあったらおかしいですし、もしそんなことがあったら、すぐに連絡してほしいです。
そして、シミュレーション通りに動いているか、無理な力がかかってないか、などを確認する必要があります。
必ずしも、最初にお渡しするマウスピースが全てじゃないということです。
うまくまとまりましたね。
よかった!私が一番言いたいことが言えました!
ちゃんとわかっている先生が診査診断して、選択肢をもらって、自分が納得しつつ背中も押してもらって断言されない、一緒に考えてもらえる。
矯正治療は「治してもらう」のではなく、「自分で治すもの」なので、患者さんが納得して始めることが一番です。
伴走しますので、是非お気軽にまずは相談してくださいね。
取材後記
何度か取材していますが、先生はいつもお話がおもしろいです。
こんなに大爆笑しながらのインタビューは、稀です。
普通、歯科医師の先生は自分の弱点をさらけ出さないのに、赤裸々にお話ししてくださいます。
インタビュアーがあまりにもウケるから、先生はさらに面白さを加速してお話ししてくださり、おかげさまで大笑いさせていただきました! (笑)
また、マウスピース矯正だけでなく、長年のワイヤー矯正の経験があるということの強みをひしひしと感じたインタビューでした。
何でゴムを掛ける必要があるのか?学会の実態など、素朴な疑問にも快く答えていただき感謝です!